桜井動物病院

犬猫の病気について

人間は生活していて、なにかしらの病気にかかります。動物も人間と同じように病気をします。人間は言葉を話す事ができますが、犬猫などの動物は話すことができないため、飼い主が意識して健康を守る必要があります。特に、日常の、食欲・被毛・目・鼻・排せつ物などの状態に気を配り早期発見、早期治療が非常に大事です。
もし異常を発見した場合はすぐにでも動物病院の診察を受けるなどして、飼い主の義務を果たしましょう。

目次


1.肥満

肥満はすでに病気のかかりはじめの状態と思ってください。
肥満は心臓をはじめ関節の負担を高め、様々な病気のリスクを誘発します。大切なペットの寿命を縮めることになるためすぐにでも改善する必要があります。

イヌとネコの肥満とは?

一般的に犬の適正体重は15%以上といわれ、猫は20%以上を越えると肥満といわれています。肥満は取り入れたエネルギーと使ったエネルギーのバランスが崩れると起こりやすいとされています。イヌやネコにおいて一般的に適正体重を15~20%を超えると肥満とされているので、適正体重は個体によっても違ってきますので必ず獣医師に相談しましょう。

なぜ太ってしまうのかを知りましょう

イヌには肥満になりやすいワケがあるのです。イヌの生態を理解することで予防に繋がります。イヌが1日に必要としているカロリーは成人の大人と比べるとわずかなのです。

犬種によって差はあるのですが、肥満の要因の1つとしては、犬は食事を与えると、与えただけ食べる習性があります。
というのもイヌの祖先であるオオカミが群れで生活をしていた時代に食事の順番は群れのリーダーから先に食べ、それ以外は競争で食べていました。
その名残もあって「食べられる時に食べられるだけ」というのが遺伝子レベルで残っています。

1日の必要カロリー量
成人男性2400~3000カロリー
成人女性2200~±200カロリー
30kgの犬1400カロリー ※1
10kgの犬600カロリー ※1
5kgの犬350カロリー ※1
2kgの犬180カロリー ※1

参考:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/required.html
※1平均的な数値で算出

表からわかるように、人と比較すると犬は体格も思った以上に小さく、1日の必要カロリー量も少ないです。しかし犬は飼い主が与えれば与えた分だけ食べてしまうのです。
犬や猫が肥満になる原因は、飼い主の餌の与えすぎと運動不足が原因とされています。
人間はダイエットしようと思ったら自発的に運動や食事の量を調整できますが、犬猫は自分で食事量を調整することはできないため、肥満の責任は飼い主にあります。
日常的に食事量や回数を管理すれば肥満は回避できます。食事を与えて食べてくれる姿は非常にかわいいのですが、肥満になると病気になりやすいですし、種類によっても太りやすい種類もあるので注意と管理が必要なのです。

摂取カロリー   ―   消費カロリー    = 貯蔵カロリーとなります。

犬は散歩や走らせる事ができるのでいいのですが、猫は散歩しない生き物ですので食事量を調整する必要があります。大事な家族だからこそ飼い主の責任も重いのです。

肥満チェック方法

犬と猫の肥満のチェックには「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」という9段階評価がよく用いられています。

痩せている ※BCS1の場合

【犬の場合】

・見る

遠くからでも肋骨がはっきり見える

・触る

体脂肪がまったく感じられない

【猫の場合】

・見る

短毛種では肋骨がはっきり見える
腰のくびれが著しい
腰の巻き上がりが目立つ

・触る

筋肉や脂肪がほとんどない
痩せている ※BCS2~3

【犬の場合】

・見る

腰のくびれが明らかで骨盤周囲が骨ばって見える

・触る

触れる体脂肪がほとんどない

【猫の場合】

・見る

短毛種の場合、肋骨が見える
腰のくびれが顕著に見える

・触る

腹部にごくわずかな脂肪がある
適正 ※BCS4~5

【犬の場合】

・見る

腰のくびれが明らか
腰の巻き上がりがはっきりしている

・触る

肋骨は余分な脂肪がなく、触れる

【猫の場合】

・見る

腰のくびれが明らか
腰の巻き上がりがややあり

・触る

肋骨は見えないが触ればわかる

太り気味 ※BCS6

【犬の場合】

・見る

腰のくびれは少しあるように見えるけど、見えづらい
腰の巻き上がりがある

・触る

肋骨はわずかに余分な脂肪に覆われているけど触れる

【猫の場合】

・見る

猫のくびれがあまりはっきりしていない
腰の巻き上がりがごくわずか

・触る

肋骨は見えないけど、触る事ができる
太っている(肥満) ※BCS7

【犬の場合】

・見る

腰のくびれがほとんど見えない
腰の巻き上がりもほとんどない

・触る

肋骨はかなりの脂肪に覆われているが辛うじて触れる

【猫の場合】

・見る

腰のくびれはわずかにある
腰の巻き上がりがない

・触る

肋骨は脂肪に覆われていて触る事が難しい
太っている(肥満) ※BCS8~9

【犬の場合】

・見る

腹部は明らかに丸みを帯びている
腰のくびれや巻き上がりはない

・触る

肋骨は触れず、首と四肢に脂肪がある

【猫の場合】

・見る

腰のくびれがない
腹部に過剰な脂肪があり丸みを帯びている

・触る

肋骨は厚い脂肪に覆われ、触れない

このように腰のくびれが見えていても実は痩せすぎであったり、くびれはあるけどあまりはっきりしないのも太り気味に分類されます。
理想の適正体型はBCS4~5とされていますので、視認で明らかに丸みを帯びていたり、おなかが大きいと感じたらすでに肥満になっていることが多く、食事の見直しや運動管理の必要があります。

犬と猫の適正体重は?

犬と猫の適正体重は1歳の体重を目安にしましょう。1歳の体重は非常に重要な意味を持ちます。大型の品種を除きますが、犬でも猫でもだいたい1歳で大人になります。
この時期の体重が個体の今後の標準体重とされています。家庭内に1歳の時の体重の記録や写真を残しているでしょうから、その記録や写真を基に現在の体重と体型を比較すれば状態がわかると思います。
BCSと合わせて太っているのかチェックする際に参考にするとよいです。

体重の考え方

犬や猫の体重は「何㎏の増減」より「何%の増減」を意識しましょう。
先述した犬の適正体重から15%、猫は20%以上超えると「肥満(太りすぎ)」とされています。10㎏の犬に例えて、その犬が11.5㎏(15%増)を超えると「肥満」になり、5㎏が適正体重の猫が6㎏を超えれば「肥満」ということになります。
人間から見たら、犬の体重がたった「1.5kg」猫であればたった「1㎏」と感じると思いますが、体重の比率が人間と比べて違います。ものすごい量が増えたと思ってください。

ですので、犬猫の体重管理は「何㎏」増えた・減ったと考えるより「何%」増えた・減ったと考えることが大切です。人間の体重からすると1㎏の増減くらい大したことはないかもしれませんが、動物からしたらとんでもないこことです。必ず意識しましょう。

おやつのあげすぎ注意

おやつが肥満になるケースが多々あります。テレビCMなどで動物のおやつの宣伝を見ることはあると思います。普段の食事以外に、おやつを与えたくなるのもわかります。食べているときはすごくうれしそうですし、食べっぷりも非常に良いです。しかしこのおやつが肥満の原因となる事があるのも事実です。
飼い主からすると「ごはんが少ないからおやつぐらいあげたい」「おやつあげると喜ぶから」といった本来の食事量をオーバーしてしまうことがあるのです。

実際、どの程度の量のおやつが適正なのかは把握しにくいものです。おやつをあげるときにカロリーまで気にしてあげている方は少ないと思います。どうしてもカロリーオーバーになりがちで、それが積み重なって肥満になるのです。

肥満は病気を誘発

肥満は体のいたるところに負担をかけるため、色々な病気を誘発します。肥満と病気の関係について少し考えてみるのも大事です。

飼い主さんの多くは、犬や猫の肥満を肥満と認識していないことが多く、太っていても「ちょっと」太いのがかわいいくらいにしか肥満を認識していないことが多いです。しかし実際に肥満は様々な病気を誘発しますし、症状を悪化させることもあり何一ついいことがないのです。

肥満が及ぼす悪影響では以下のようなことがあります。

・糖尿病

肥満による糖尿病の原因になる場合や糖尿病を悪化させる原因となります。

・尿路結石

猫に多く発生する尿路結石も肥満と深く関係します。

・関節障害

体重が重くなることで関節に負担がかかります。

・循環器障害

肥満の体全体に血液を送るため心臓負担が非常に大きいのです。

これ以外にも数多くの悪影響があり、肥満は百害あって一利なしなのです。
とくに猫は肥満になると運動しなくなり、水の飲む量が減り、おしっこが少なりなります。そうするとトイレの数が減ってしまい膀胱におしっこがたまったり、おしっこが濃くなってしまうので、尿路結石ができやすくなるのです。人間でも同じで、水分を適切にとる必要があるのです。

犬や猫のダイットはどうすれば?

原料には低カロリーでも必要な栄養素が取れる調整された専用の食事療法がおすすめです。
犬や猫の場合、人間と違って毎日意識して運動でカロリーを消費させようと思ってもなかなかうまくいきません。ですので、食事で摂取するカロリーを減らすことが重要となってきます。減量には調整された減量用の食事療法が良いでしょう。
重要なのは体についた「余分な脂肪」だけを減らすことなので「健康的に」体重を減らす事です。ただ食事量を減らすのではなく「栄養」を損なわずに「脂肪」を減らしていきましょう。通常の食事量をただ減らすと筋肉・内臓・骨を維持するための栄養が不足になってしまいます。

減量用の食事療法食は栄養素を減らさずにカロリーを抑えられるように特別に調整された食事があります。食事療法食には様々な工夫が施す必要があり、例えばフードのかさを減らさず、満腹感をできるだけ長く保てるようにしましょう。

また猫の食事療法で気を付けたいのは、急激な食事制限をすると全身の脂肪が肝臓に集まってしまう肝リピドーシスという病気になってしまう危険性があるので、絶食してはいけません。もしごはんを食べないことがあったら必ず獣医師に相談しましょう。

減量計画は獣医師に相談

無理なダイエットは健康を損なうこともあります。獣医師に相談することで無理のないダイエットを行うのが減量の近道です。
減量は無理に行うと体調を崩したり、必要な栄養素が摂取できないこともあり非常に体の負担が逆に大きくなってしまうことがあります。獣医師と相談しながら犬や猫の健康が損なわれないように、ダイエット計画を立てていくのが良いでしょう。

先述した通り、何%増えたか減ったかが大事で、その中の範囲で目標体重を決めて体重を定期的に記録しながらダイエットを進めていき、定期的に獣医師に状態を確認してもらって体重管理を行う必要があります。

減量に成功したら

減量成功したらゴールではなく、その後の食事にも注意しましょう。
せっかくダイエット成功したからといって気を緩めては元の木阿弥です。太った食生活が原因であれば、痩せて元の食生活に戻したら当然リバウンドをして病気になる可能性が増えます。きちんと食事量と適度な運動で犬や猫のケアを行いましょう。
肥満予防のポイントとしては、カロリー摂取を調整したり、適度な運動をさせることです。

2.糖尿病

人間で糖尿病の話はよく聞くと思いますが、犬や猫の糖尿病はどのようなものかについて解説いたします。

犬や猫の糖尿病とは?

糖尿病について、名前は聞くけど実際どのような病気か良くわからないという方もいると思います。膵臓で作られるインスリンは血液中の糖(ブドウ糖)を細胞内に取り込み、細胞が糖を代謝してエネルギーに変えるのを促進しています。このインスリンが何かの原因で不足してしまったり、うまく作用しないと細胞が糖を取り込めなくなり、血液中のブドウ糖が使えなくなってしまうため、様々な不調を引き起こします。そして尿から糖が検出されるため糖尿病と呼ばれます。人間と同じ病気ですので、すぐに治療を行う必要があります。

犬と猫の糖尿病の種類と症状

犬はヒトⅠ型・猫はヒトⅡ型に似た糖尿病が多く見られます。

人の生活習慣病としてよく知られている糖尿病には大きくわけるとⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型はインスリン依存型と呼ばれ、絶対的なインスリンの不足によって治療にはインスリンの投与が必要となります。もう一方のⅡ型はインスリン非依存型とされていて、肝臓や筋肉などの細胞にインスリンに対する反応が鈍くなってしまい、インスリンが効きづらく糖がうまく取り入れられなくなって起こります。安静時のインスリン濃度は正常値だったり、上昇したりするため、インスリンの投与をあまり必要としないのです。

人間でも同じことですがⅡ型糖尿病は食べすぎや運動不足による生活習慣病が関係していることが多く、糖尿病と診断された9割がこのⅡ型に該当します。犬や猫の糖尿病の場合、犬はⅠ型が多く、猫はⅡ型になりがちとされています。犬はメスに多く発症し、猫はオスに多く発症します。

糖尿病になると以下のような症状が見受けられます。

・体重が減る

インスリンが足りないため、食事をしてもブドウ糖を脂肪やグリコーゲンに変えて蓄えられず、エネルギー効率が著しく悪くなり、体重が減っていきます。

・白内障

糖尿病が進行すると白内障を引き起こしやすくなります。

・食欲に変化が起きる

多食なのに体重減少が見られる。猫の場合、食欲不振になる。

・下痢や嘔吐

糖尿病の影響で血液中のケトン体と呼ばれる物質が増えてしまい、血液が酸性になってしまうことがあり、下痢や嘔吐を引き起こします。

・元気がなくなる

非常に疲れやすくなり、寝る事が増えて運動不足に拍車がかかる。

・特徴的な歩き方

猫の場合、かかとをつけて歩く特徴的な歩き方になるのでそこで糖尿病が発見される場合があります。

・水をたくさん飲むようになり、おしっこの回数と量も増える

血液中の糖が増えて一部が尿として排泄されてしまい、糖と一緒に水分も余分に排泄されるためたくさん尿をするようになります。また尿で水分を失うので、その分水をたくさん飲むようになります。

・犬と猫の糖尿病の治療

糖尿病の症状はたくさんあり、主な原因は肥満によるのが原因です。そこからどのように治療していくのが大切なポイントとなります。

糖尿病の治療は血糖値のコントロールが重要です。人間でもこの血糖値コントロールがうまくいかず治療がうまくいかない事が多く、A1cの数字が高いままの人非常に多いのです。治療法はタイプによって異なってきますが、血糖値は薬だけで治すのは難しく、食事管理や運動が非常に重要なのです。

犬に多いⅠ型に似た糖尿病の場合、基本的な治療はインスリン投与ですが、適切な食事療法も糖尿病治療の助けになります。食事療法で食後の血糖値を安定させる事ができれば、投与するインスリンの量を減らす事も可能になってきます。ですので食事管理は非常に重要なのです。
猫に多いⅡ型の糖尿病は大半がインスリンに依存しないタイプになるため、体重管理と食事療法で状態をコントロールが可能です。肥満によってインスリン感受性が低下している場合は、体重を落とす事で感受性が高め、インスリンの必要量が少なくする事が可能です。

【I型糖尿病】犬に多い

・インスリンの投与

・食事療法

【Ⅱ型糖尿病】猫に多い

・食事療法

・血糖値を下げる薬を投与

・インスリンの投与(状況による)

犬と猫の糖尿病の食事管理について

糖尿病の食事管理については、気を付けたいポイントについて解説します。

食事療法の目的は、食事による血糖値の変動を抑え、インスリン療法と組み合わせる事で血糖値のコントロールをします。
普通に食事をすれば、食後には血糖値が上がりますが、主な理由としては食事中の炭水化物による糖の摂取です。
糖尿病用の療法食では、食後に血糖値が急激に上がらないように様々な工夫がなされています。消化スピードが異なる炭水化物を組み合わせたり、血糖値の上りにくい食物繊維を増やし糖の吸収を穏やかにする方法があります。

食事療法食のポイント

犬や猫の糖尿病の食事療法食は以下のような点に配慮して作られています。
・食後の血糖値の上昇を穏やかにする
・脂肪の量を少なくしている

糖尿病の予防方法

糖尿病に限った話ではないですが、太りすぎないように気を付ける事です。
糖尿病にならなくても肥満によって違う病気を誘発する可能性もありますので定期的な体重管理を行い、適正体重を保つ事が大事です。毎日は運動できなくても週に数日は運動の日を設ける事も糖尿病予防に繋がります。

3.歯周病

犬や猫に対するデンタルケアの意識が高い方もいますが、実際3歳以上の犬猫の8割は歯周病にかかっているといわれています。

多くの飼い主は口臭が気になり、犬や猫も歯周病になる事をご存じです。
しかし無理に歯磨きをすると犬や猫は嫌がってのけぞりますし、大切だとわかっているけどどうしたらいいのかがわからない方もいれば、めんどくさいと思う人もいます。様々な原因が元で、歯磨きの効果が低くなり歯周病になってしまうのです。

歯周病ってどんな病気?

歯周病とは歯垢中の細菌が原因で歯周組織が炎症を起こす病気です。
歯垢とは、歯の表面や歯肉の間に食べカスや唾液中の成分が溜まってできたものです。
歯垢の中には細菌が含まれていて、その細菌が作り出す毒素などによって炎症が起きます。

人間にもよくある歯肉炎ですが歯肉が炎症を起こした状態をいい、放置すると歯肉以外の歯周組織にも炎症が起き、歯周炎になります。これらを総称して歯周病と言います。

小型犬は歯と歯の間が狭いので歯垢が溜りやすく、歯周病になりやすいとされています。
ここで勘違いをしやすいのが虫歯です。虫歯とは歯の表面にできた歯垢の中で虫歯菌が増殖し、歯の表面を溶かす病気であり、歯周病とは別物です。

犬や猫は虫歯になるのか

犬猫の特徴として虫歯になりにくく、歯周病になりやすいです。もちろんならないわけではないですが、口の性質に違いがあります。
人の口の中のphは弱酸性~中性であり、唾液の中にはアミラーゼと呼ばれる消化酵素があり、口の中に酸を発生させてしまうので、虫歯菌にとって好ましい環境です。
それに対して犬猫の口腔内のphは弱アルカリ性のためアルカリ性を好む歯周病菌にとって好ましい環境なのです。アルカリ性の環境下では一週間もあれば歯石が形成されます。

酸性とアルカリの対極の口腔内環境によって、犬猫は虫歯になりにくく、歯周病になりやすい特徴があるのです。

歯周病の症状

以下のような症状がある場合、歯周病の可能性が疑われるので、すぐに獣医師に相談しましょう。

口臭が臭い

歯周病の原因となる最近が歯と歯茎の歯周ポケットで繁殖すると口臭が発生します。
大半の飼い主が最初に気になる症状が口臭です。

・以前と食べ方が違う

歯周病が進行すると痛みが出る場合があるので、痛いのを避けるような食べ方をします。

口を気にする

歯周病になっていると違和感がありますので痛みで歯に物が引っかかるような食べ方になってきます。

よだれが出る

食べ方が変わるため、口をあけたり変な食べ方になるのでよだれ出してしまう事があります。

くしゃみ・鼻水・鼻血

歯周病は歯周ポケットに最近が繁殖する感染症ですので進行すると歯根部の深いところにまで感染し、炎症が広がります。

歯根部から鼻腔へ感染が拡がってしまうとくしゃみ・鼻水が出る事があり、ひどいと鼻血が出るようになります。ですので、くしゃみや鼻水などを出すようになったら歯周病の可能性が疑われます。

眼の下が腫れる

歯根部の深いところまで感染してしまって眼の下まで拡がる事があります。
そうすると眼の下(ほぼ顎)が腫れてしまう事があります。
重症化すると頬の皮膚が破れて化膿して膿が出てくる事もあります。

顎の骨折

歯周病の進行で怖いのは下顎の骨が溶けてしまって骨折に至ってしまう事です。
食べ方が変化してしまって痛そうにする症状が見られるのですぐに病院に連れていきましょう。

・全身への影響

歯周病菌が血管に入ってしまい全身を巡る事で心臓病や腎臓病の原因となる事があります。
歯周病=口の中の病気だけではなく進行すると全身に悪影響を及ぼす病気です。

犬猫のお口が気になったらまずは病院で診察をしましょう。
歯肉が赤くなる・口臭がする・歯石や歯垢が目立つ程度でも獣医師に相談するべきです。
軽い程度の歯肉炎であれば日常の歯磨き指導で済むかもしれませんが、歯周炎になってしまったら歯石を除去する必要があります。歯科処置の場合、全身麻酔が必要となりますので、状態を確認してから治療を進める事が大切です。

歯周病の予防

歯周病の原因は先述した通り、歯垢中にいる細菌が原因ですので、歯垢を付着させない事が予防法となります。最も効果の高い予防法はシンプルに毎日、犬猫用の歯ブラシで歯磨きをする事です。すべての犬猫が歯磨きをさせてくれるかというとそういうわけではないですから、難しい場合は、歯石付着予防効果のあるドライフードや歯石除去効果のあるペット専用ガムをしつつ、歯磨きできるのであれば歯磨き剤で歯磨きをしましょう。「めんどくさい」「うちの子は無理」「暴れる」を理由に諦めるのは犬猫にとっても悪い状態を引き起こし、治療費も高くなるケースが多いです。
無理強いせずにできる事からはじめ、少しづつでも歯ブラシを使った歯磨きができるように接していきましょう。

歯周病の治療

歯周病が進行して歯石がある程度付着してしまうと自宅で歯みがきを一生懸命やっても歯石は除去できません。
歯周病の治療の基本は、歯垢・歯石の除去する事ですが肉眼で見える範囲に限らず歯根面や歯周ポケット内の歯石や細菌によって炎症を起こしたところを除去や治療をして清潔な状態にすることが大切です。
ある程度、歯石がついてしまったら動物病院で診察してもらい、歯周病の進行を防ぐためのスケーリングを行う必要があります。
治療を行った後の歯は綺麗な状態には戻るのですが、また同じような生活をすると歯周病が再発しますので、処置後のデンタルケアはしっかりと行いましょう。
重度の歯周病になってしまったら抜歯が必要が必要になり、抜けた歯は元には戻りませんので動物病院に必ず相談しましょう。

まとめ

犬猫に限らず、ペットとして家族としてペットを飼っている方であればだれもが考える部分ではないでしょうか。
動物は人間のように言葉を話せない分、行動で伝えてきます。飼い主は日常的な動きをしっかりと観察し、管理を行う事で病気などを防ぐ事ができます。
定期的な健康診断を受けていただく事が大事ですが、それと同じぐらい重要なのが私生活による気づきだと思っています。
日常のわずかな体調の変化や行動の違和感をそのままにせず獣医師に相談することで、その先一緒にいられる時間も長くなる可能性が増えます。

桜井動物病院ではペットと飼主様が1日でも長く一緒にいられるように努めてまいります。